バドミントン飯野佳孝イズム

選手を強くしたい指導者と強くなりたい選手のためのブログです。

フォア奥からクロス方向へ打てない【質問と回答】

指導者のN氏から以下の質問がありましたので、ブログでも回答します。

<質問内容>
指導している高校生S選手は、シングルスのラリー中フォア奥からクロスへドロップ、
カット、スマッシュを打つことができません。全日本代表でも打てない選手がいます
が、原因はどこにあるのでしょうか?

<回答>
S選手及び対戦相手が右利き選手として回答します。
幾つか原因はあると思います。

<戦法点な観点>
1つは、打てないのではなく相手の弱点がバック側からの返球にあるとしたら、そこ
に重点的にシャトルを集めてエラーを誘ったり、返球が甘くなった球を狙っているか
もしれません。しかし、ノック練習や技術練習でも、フォア奥からクロス方向へ打て
ないということでしたら、以下の内容が原因と考えます。

<両足を空中で入れ替える>
ラリー中にホームポジション付近からフォア奥へ移動し、タッピングして飛びついて
打つ場合、両足を空中で入れ替えて打つ選手がいます。イメージしづらいかもしれま
せんので下の動画をご覧ください。

◆フォア奥タッピングして飛びついて打つフットワーク練習


この動画はフォア奥へタッピングで移動し、飛びついて打つ際のフットワーク練習で
す。両足を空中で入れ替えないで打つフットワークです。相手が打った低めのロビン
グやクリアに対して、両足を空中で入れ替えて打たなければならないと考えて実行す
ると、打った後、もしくは打つと同時に両足を入れ替えざるを得なくなります。そう
すると体のバランスが崩れ、フォア奥からクロス方向へ打つショットのコントロール
が悪くなります。さらにクリアやスマッシュ、カットなどは、速いショットを打つこ
とができなくなります。
両足を空中で入れ替えようとする動作が少しでも入ると同じような結果になります

選手はコントロールが悪くなるのを無意識に分かっているため、クロス方向へ打つの
を避けているのでしょう。

また、このフットワークで飛びついて打った後に両足を空中で入れ替えることは、運
動連鎖の考え方と照らし合わせると間違った方法になります。ラケットをスウィング
するための動力源である運動エネルギーは、下肢⇒体幹⇒上肢⇒ラケットと増大しな
がら伝えて行きますが、打ったと同時、もしくは打った後に両足を空中で入れ替えて
運動エネルギーを発生(下肢の運動エネルギーの発生)させても意味がないと言える
からです。
フォア奥で両足を空中で入れ替えられる場合は、相手が打ったシャトルが高い放物線
を描きインパクト地点に落下するまでに十分な時間がある時です。
フォア奥へ飛びついて打つ動作も、両足を空中で入れ替える動作と同じく運動エネル
ギーを発生させています。

<グリップ>
グリップがウエスタングリップ:下図右(フライパングリップ)で握って打つとフォ
ア奥からクロス方向へコントロールよく打つことができません。


◆2種類のフォアハンドグリップ
フォアハンドG 

バドミントンがフォアハンドだけで打つ競技でしたらウエスタングリップは、有効な
グリップです。しかし、残念ながらバックハンドで打たなければならないことが多く
あります。従ってフォアハンドのグリップは、バックハンドにすぐに持ち替えられる
ようにイースタングリップ(左図)を多用します。
ウエスタングリップでバック奥からスマッシュ、カット、ドロップ、クリアを打とう
とすると、ストレートとクロスの両方向へ打つことができます。しかし、フォア奥か
らは、ストレート方向に打つことができますが、クロス方向へ打つことが困難になり
ます。インパクト時のラケット面の向きが完全にクロス方向へ向けることが難しいか
らです。

フォア奥からクロス方向にカットとドロップを打つ際は、下のバックハンドグリップ
にして打つとコントロールが向上します。

◆バックハンドグリップ
バックハンドグリップ (2)

戦法以外でしたら、
フォア奥で両足を空中入れ替えられる場面かどうか?
インパクト時のグリップが適切かどうか?
を確認してください。

フットワークに問題があれば動画のようにフットワーク練習を行う。
グリップに問題があれば、グリップを適切な持ち方に修正して技術練習を行う。こと
が必要です。

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<サマーキャンプ参加者募集中>
選手の参加枠残りあとわずかです!

開催日:8月18日(金)午後から19日(土)・20日(日)
会場:千葉工業大学 新習志野キャンパス
申込締日:8月10日 定員になり次第締め切ります。
★内容詳細は、6月6日公開のブログ記事をご覧ください。
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  1. 2017/07/24(月) 15:37:12|
  2. 理論
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世界トップレベル選手になるには?-2【質問】

高校で指導されているM氏から質問がありましたので、ブログでも回答します。

M:前回のブログ記事は、大変参考になりました。バドミントンのスタミナについて、
もう少し詳しく説明をお願いします。

飯野:それではまず最初は、バドミントンの試合でスタミナが低下する主な要因を挙
げてみましょう!

1. グリコーゲンの枯渇
バドミントンのような運動強度の高い運動の中心的なエネルギー源がグリコーゲンで
す。グリコーゲンの貯蔵量には限度があり、試合内容や個人によって異なりますが一
般的には、約90分で枯渇してしまいます。
1日の試合数が多かったり、長時間の試合では、このグリコーゲンの枯渇によるスタ
ミナ低下が考えられます。

2. 水分、ナトリウム・カリウムなどのミネラルの不足
近年、練習中や試合中にスポーツドリングなどを飲む習慣が定着しています。継続し
て水分などの補給を行いましょう!

3. 緊張感の持続による精神疲労

4. 主要部位の筋肉疲労
バドミントンでは、筋持久力・最大筋力・筋パワーの筋力トレーニングが必要です。
質の高い練習を長時間実施したり、怪我を予防するためにも筋力トレーニングは不可
欠です。各トレーニングの本格的な開始時期の目途は、筋持久力は中学生から、最大
筋力と筋パワーのトレーニングは、高校生になってから行いましょう。

5. 乳酸の大量蓄積
試合中、普段より動くスピードが速くなったり、ラリー時間は長くなったり、ラリー
間シャトルを拾うなどで休む時間が短くなったりした場合、それを繰り返すと乳酸が
大量に生成され、許容量を超すと運動を抑えるか、運動をストップしなければならな
くなります。試合中、早く決めにかかったり、シャトル交換を頻繁に行い休みを多く
取ろうとする場合は、この乳酸の蓄積によるスタミナ低下が考えられます。

M:それでは、次にスタミナ低下の大きな原因になる乳酸について教えてください。

飯野:A選手とB選手がシングルスの試合を行っています。A選手はB選手より競技レ
ベルが高くスタミナもあります。A選手は、コートを速く動き、簡単なエラーはしま
せん。A選手が打つショットのテンポは速く、それに対応するためB選手も速く動か
なければいけません。A選手は簡単にエラーしないため、お互いのラリー数が多くな
ります。B選手は、普段の練習時より運動強度が高いため乳酸が大量に生成されまし
た。そして、乳酸の蓄積が許容量を超えたため、頻繁に休みを取ろうとします。しか
し、A選手は、顔色ひとず変えず、すぐにサービスを出そうとします。とうとうB選
手のスタミナが切れて集中力も途絶えました。こうしてA選手は、試合の後半楽にラ
リーを展開し勝ち上がりました。
こんなストーリーが考えられます。
A選手のように乳酸の蓄積を抑えられるようになるにはどうしたらいいのでしょうか?
それは、練習やトレーニングで乳酸を大量に生成することを繰り返し行うことで、体
が適応して行きます。

M:苦しい練習内容ですね!

飯野:勝つことを目的とした競技スポーツは、残念ながら健康になるために行っては
いないのです。

M:具体的には?

飯野:乳酸を大量に生成するためには、乳酸系(解糖系)の練習・トレーニングを実
施します。30秒~1分30秒の間、最大スピードで動きます。ノック練習やフットワー
ク練習がバドミントンの動きであり直接的です。例えば30秒最大スピードで動くノッ
クを行って、30秒休みます。これを、もうこれ以上できなくなるまで繰り返します。
週2回~3回実施します。中学生から積極的に行ってください。

M:小学生はどうですか?

飯野:小学生は、スタミナが大きく向上する時期ではありません。動く時間を短く、
休息時間を長くして行いましょう。例えば、中級レベル以上の選手でしたら、20秒動
いて40秒位の休息です。オールアウトまで実施する必要はなく、無理のない範囲のセ
ット数で行いましょう。中学生以上の選手も、最初から30秒最大スピードで動いて、
30秒休息を入れて繰り返すことはできません。動く時間を短くし、休息時間を長くと
ることから始めましょう!

M:フットワーク練習は、どういった内容がありますか?

飯野:指示フットワークが一般的ですが、私のブログでスピード練習の動画を公開し
ていますので応用することができます。スピード練習は、10秒~20秒コート内を最大
スピードで動きますが、スタミナ向上のフットワーク練習は、同じ動きで30秒~1分
30秒間最大スピードで動いてください。

M:スタミナ向上に必要なミドルパワートレーニングとは?

飯野:乳酸系(解糖系)のトレーニングを言います。これもノックやフットワーク練
習と同じ考え方です。30秒~1分30秒間最大スピードで動き、動いた時間分休息し、
それを繰り返します。運動時間対と休息時間の比は、1対1です。トレーニングの例
として、縄跳び、階段の昇り降り、ダッシュなどがあります。
小学生は、先ほど述べたノック練習と同様の考え方です。

M:スタミナ向上の練習・トレーニングで注意する点はありますか?

飯野:チームで行う際、選手の体力レベル、スタミナレベルに応じて時間やセット数
を考慮してください。例えば、ノック練習で30秒動くノックを各種合わせて10セット
行うメニューがあったとします。10セットできない選手は、出来なくなった時点で終
了し、まだ余裕のある選手は、11セット目を45秒、12セット目を1分行うなど徐々に
動く時間を長くしてオールアウトまでもってゆきます。

M:個別性を重要視するということですね!

飯野:オールアウトは、選手の自己申告でもいいでしょう。
問題は選手の知識(意識)です、このことを十分理解してから実施しないと、選手は
手を抜いて行ってしまいます。乳酸が大量に生成されるので大変苦しい練習・トレー
ニングになります。出来たら避けたいと考えるのが普通です。

M:指導者と選手の共通理解が必要だということですね!
全体像が分かりました。どうもありがとうございました。


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  1. 2016/12/12(月) 07:00:33|
  2. 理論
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タメを作る?【質問】

以下の質問が読者のHさんからありましたのでブログで回答します。

<質問>
先日、BSフジのテレビ番組「アキレアの橋~2020遥かなる東京へ~」を見ました。
リオオリンピック女子シングルスに出場する奥原選手と山口選手を取り上げ、強さの
秘密を探るという内容でした。その中で小椋さんと柔道の野村さんが対談した内容で、
小椋さんは、一般的な女子選手は、スマッシュを打つ際、ワン・ツー?で打つが、山
口選手は、「タメを作って打つので相手はレシーブしづらい」というような話があり
ました。正確な表現は少し忘れてしまいましたが・・・。抽象的な説明だったのでよ
くわかりませんでした。娘がバドミントンをしているので気になっています。どうい
ったことでしょうか?

<回答>
殆どの女子選手は、両足を入れ替えると同時にスウィングして打ちます。決して最適
な打ち方とは言えません。ところが、山口選手は、運動連鎖をうまく使い最大スピー
ドでラケットをスウィングしています。運動連鎖の目的は、ラケットをスウィングす
るための動力源である運動エネルギーを足で発生させて上半身⇒腕⇒ラケットへと増
大させて伝え最大スピードでスウィングできるようにすることです。従って足で運動
エネルギーを発生させてからインパクトまで、時間がかかります。1~2秒前後かも
しれませんが、これを「タメを作る」という言葉で表現したのでしょう。

運動連鎖に関するブログ記事は、2013年3月30日公開「見よ!小1のスマッシュ」
2014年4月7日公開「見よ!カッキーのハイバッククリア」に記載しています。

冒頭に戻りますが、一般の女子選手は、空中で足の入れ替えと同時にスウィングする
ため、運動エネルギーを増大する前にシャトルを打ってしまいます。結果、自身の最
大スピードでラケットをスウィングすることが出来ていないのです。

山口選手は、スマッシュやクリアなどでスウィングを開始する時のラケットと肘の位
置、肘の後方への引き方、ストロークも参考になります。You Tubeなどで確認してみ
ましょう!


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<第3回フィーダースキルアップセミナー募集終了!
応募は締め切りました。総勢107名で実施します。

<2016サマーキャンプ参加選手&指導者募集中>
詳しくは、6月7日公開の記事をご覧ください。


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  1. 2016/07/04(月) 08:00:01|
  2. 理論
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ダブルスレシーブ時の足の位置【質問】

以下の質問がありましたので、ブログで回答します。
<質問>
ダブルスのレシーブで構えるとき、足の位置はどうしたらいいでしょうか?

<回答>
右利き選手をモデルにして回答します。
さて、速いスマッシュやスマッシュと見せかけたドロップ、クリアに対応するための、
最適な両足の位置を探ってみたいと思います。

1. 両足を前後にして構える
両足を前後にして構えると、体の正面に打たれたスマッシュに対しては、体重を前方
にかけ易くなるため、速いドライブやコート後方まで高いロビングで返球しやすくな
ります。しかし、体の左右の少し離れたエリアへ打たれたスマッシュに対しては、左
側にきたら左足、右側にきたら右足へと体重を乗せて打ったり、左右へ一歩足を出し
て打つこと難しくなります。スマッシュと見せかけて打たれたドロップやクリアに対
しては、両足で床を蹴りづらくなるため反応が遅れることが多くなるでしょう。
必ず体の正面にスマッシュがくると予測できればいい方法です。

左右前後 

2. 両足を左右平行にして構える
両足を左右平行にして構えると、体のサイドに来たスマッシュに対しては、左右の足
に体重を乗せて打ったり、左右へ一歩足を出して打つこと容易になります。しかし、
両足を左右平行にした状態でスマッシュレシーブすると体重を前にかけづらいため、
速いドライブレシーブやコート後方まで高いロビングで返球することが出来なくなり
ます。スマッシュを打たれたら右足を出して体重を右足にかけて打つ方法もあります。
しかし、対戦相手のスマッシュが速くなるにつれてシャトルを当てることに注意が向
くため右足を出すことが疎かになります。特にジャンプスマッシュを打たれると、そ
の間、相手を見るため両足が止まり、スマッシュを打たれてから右足を出すことがで
きなくなります。それに代わりに、両足を平行にしたまま前傾姿勢をとってレシーブ
 することが最低限求められます。
スマッシュと見せかけて打たれたドロップやクリアに対しては、両足で床が蹴りやす
いため、右足を大きく前に出して構える方法よりは反応は速くなるでしょう。
体の左右へきたスマッシュ、ドロップ、クリアに対しては、対応がしやすいが、速い
ドライブレシーブや高いロビングでコート後方まで返球するのは、難しいと言えるで
しょう。

左右平行 

3. 右足を少し前にして構える
上記の両足を前後にして構える、両足を平行にして構える方法は、それぞれ長所と短
所があります。それをできる限り解消するのが、右足を少し前にして構える方法です。
前後、左右の動きや体重移動も比較的容易にできるためお勧めします。

右足少し前 

以前、世界のトップレベルの一部男子選手は、右利きだが左足を出してスマッシュレ
シーブをしているが、どうでしょうか? とのコメントを頂きました。今回この件に
関連しているため、この場で回答します。
世界トップ選手が行っているプレーが万人にとっていいお手本かというと、決してそ
うではないこともあります。正面から来たスマッシュに対して左足を出してレシーブ
すると左肩が前になり、右肩(右腕)が後ろになります。左足を前に出してスウィン
グするとボディ及びバック側に来たスマッシュに対して左足が邪魔になりラケットが
接触したり、反動動作でラケットを引く距離が短くなるため速い返球ができなくなり
ます。必ず体の右側にスマッシュが来るということでしたら、右足を引いてフォア側
を空けてスウィングしてもいいかもしれませんが、必ずフォア側にスマッシュが来る
とは限りません。そこで、原則、右利き選手は、右足を少し前に出してスウィングす
ることを私は推奨します。


上記が原則ですが、相手選手がどんなショットを打つのかという予測によって両足の
位置が変わってくる場合がありますので、臨機応変に対応する必要もあります。

さて、これらのことを参考にして、試合で対戦相手のレシーブ時の両足の位置を確認
してみましょう! 狙いが絞れるかもしれませんね!

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<第3回フィーダースキルアップセミナー募集中>
詳しくは、5月13日公開の記事をご覧ください。

<2016サマーキャンプ参加選手&指導者募集中>
詳しくは、6月7日公開の記事をご覧ください。

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  1. 2016/06/13(月) 08:00:21|
  2. 理論
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チェンピン再来日

1988年、ヤマハ株式会社(当時の日本楽器製造株式会社)は、中国との関係強化、内
なる国際化、チームの強化、バドミントンの普及発展を目的に、中国体育服務公社・
中国バドミントン協会との間でチェンピン(Qian Ping)、グージャーミン(Gu Jia Ming)
の2名をヤマハ株式会社に受け入れる契約を締結しました。
当時、バドミントン界はもちろん、各スポーツ団体でも現役バリバリの世界のトップ
レベル選手が日本へ来て活動することは非常に珍しいことでした。

*チェンピン(Qian Ping)の主な戦績
1984年全英オープンシングルス3位・世界選手権シングルス3位、1987年全英オープン
シングルス準優勝・ドイツオープンシングルス優勝・スカンジナビアオープンシング
ルス準優勝。

*グージャーミン(Gu Jia Ming)の主な戦績
1986年全英オープンシングルス3位・香港オープンシングルス3位、1987年世界選手権
シングルス3位、1988年世界選手権シングルス準優勝・全英オープンシングルス優勝

両名が来日して1週間もたたないうちに、東京にあるソニーフットネス研究所で体力
測定を行いました。体力が低下しないうちに測定したかったのです。測定内容は、体
重、体脂肪率、体前屈、全身反応時間、背筋力、握力、筋のピークトルク、パワー、
最大酸素摂取量、ATです。

この中でAT(無酸素性作業閾値:Anaerobic Threshold) の値が非常に優れて
いることが分かりました。

今までバドミントンのスタミナ向上を図るためには、長距離走(ランニング)が中心
であり、毎日のように走り込みを行うチームが多くありました。しかし、バドミント
ンでは、AT値を高めることがスタミナ向上には欠かせないことが分かり、練習・ト
レーニング内容を大きく変えるきっかけになりました。

スタミナ向上の練習・トレーニングの概念と具体的な方法は、2016年1月28日公開記
事の「どうしたらスタミナがつくの?」および関連記事、バドミントン教本応用編を
ご覧ください。

体力測定の内容は、バドミントンマガシンで連載、専門誌「目でみるバドミントンの
技術とトレーニング」(大修館書店1994年発行)で一部掲載、バドミントンコーチン
グセミナーで資料配布・講演、各地講習会、全日本ジュニア研修合宿などで広く普及
を図りました。

バドミントンマガジンで連載した内容は、以下の項目をクリックしてご覧いただけます。
変色しているページがあり見づらくなっていますが、ご了承をお願いします。

◆バドミントンマガジン掲載内容


注:文中の広田=廣田 彰氏(現宮崎大学名誉教授(専門は運動生理学):コーチング
セミナー講師)、宮村=宮村 司氏(現常葉大学教授:当時ヤマハ強化クラブトレーナ
ー)です。

<廣田彰氏のコメント>
28年前の世界トップレベルの選手のデータが今日でも生きていると痛感しているとこ
ろです。このデータは我々にとっては理論と実践が結びついた証でもありました。

バドミントン競技のスタミナづくりの課題に取り組んでいたころ、従来のいわゆる「長
い距離の走り込み」の方法が実際のバドミントン競技の激しい動きの繰り返しに合わな
いことを痛感し、より無酸素的な動きをスタミナづくりの方法として導入することを考
えていました。そこで導入した指標がATという値でした。AT(無酸素性作業閾値:
Anaerobic Threshold) は無酸素的エネルギー供給機構が働き始めるポイントを示した
もので、この値がバドミントン競技のスタミナの指標になると考えたのです。つまり、
高い運動強度(激しい動き)まで有酸素的エネルギー供給機構によるエネルギー供給が
行われるために,乳酸が産生されず,長時間の運動が可能であるということで、この値
の高い競技者ほど競技成績も良いということです。

バドミントン競技のゲーム中の激しいラリーの応酬はまさに無酸素的な動きであり、こ
の動きに十分に適応する呼吸循環機能を保持している人こそバドミントン競技のスタミ
ナの持ち主であると考えたのです。

体力測定の結果、ヤマハ中国選手2人のATは日本選手のそれより高い値を示していま
した。二人が世界のトップ選手として活躍した背景にはそのような高い身体能力を備え
ていたことが一因であったと思いました。それからは、二人の練習方法をつぶさに調べ
たり、更にはその後実現した中国ナショナルチームとヤマハチームとの北京での合同練
習を通して、その具体的な方法を探ってきました。そして、その集大成が現在、飯野さ
んが各地の講習会で実践されているスタミナづくりの具体的に練習方法なのです。バド
ミントン指導の中でこのような理論を考え、その実践方法を示したのは当時としては初
めてであり、画期的なものであったと思っています。

注:ATは、最近ではより具体的な指標として、乳酸性作業閾値(LT: Lactate Threshold)
、換気性作業閾値(VT: Ventilation Threshold)、血中乳酸蓄積開始点(OBLA: Onset of Blo
od Lactate Accumulation)などを用いるようになってきていますが、これらを総称したも
のをATと呼んでいる場合もあります。


24歳で来日したチェンピンは、現在52歳になりました。先日、家族と共に観光で来
日し20数年ぶりの再会となりました。そこで最初に思い出すのが、この体力測定です。
体力測定は真剣に取り組んでもらい、本当に貴重なデータを得ることができました。
ありがとうございました。

◆再来日したチェンピン
チェンピン

もう一人のグーさんは、みなさんご存じのとおり、現在東京に在住し日本のバドミント
ンの普及発展に寄与されています。

<エピソード>
来日して荷物を解く間もなく東京で体力測定を行いました。測定が終わったら次の日に
ディズニーランドへ連れて行くからと言って説得したのを覚えています。チェンピンも
そのことを覚えていて大笑いになりました。

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  1. 2016/02/18(木) 08:00:02|
  2. 理論
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どうしたら打てるようになるの?

今回は、競技力を構成する要因の最後の1つ「技術」が向上するための専門練習と専
門トレーニングを解説します。
下の図は、技術を向上するために専門練習と専門トレーニングの内容を示したもので
す。

◆バドミントンの技術向上
バドミントン技術向上

専門練習は、技術練習、総合練習、部分練習です。
技術練習は、うまく打てないショットを、繰り返し打ち込んで打てるようになるため
の練習です。そして、打てるようになったらショットのコントロールを向上するため、
これも何回も繰り返して打つ練習です。技術練習は、2つの目的があることを理解し
ましょう。
技術習得で最大の課題は、どういう打ち方が理に適っているのか判断が難しいという
ことです。技術理論を唱える指導者は多くいますが、抽象的な言葉でしか指導できな
いのでは論外です。技術が理に適っているかどうかの判断基準は、①繰り返しショッ
トを打っても障害が発生しづらいこと ②運動力学に適っていること ③繰り返し練
習すれば目的とするショットのスピードや正確なコントロールを得ることができるこ
とです。

選手が打ち合う総合練習や部分練習では、正確な技術を発揮することが求められます。
されに、この練習を行うためには、選手がコート内移動スピードとスタミナも兼ね備
えていないと成立しません。中級と上級レベルの選手向けの練習と言えるでしょう。

技術は、見て覚えることも重要です。昔と違い最近では、インターネット環境があれ
ばYou Tubeで簡単に世界のトップレベルの試合を見ることができます。バドミントン
の普及発展に多大なる貢献をしていると言ってもいいでしょう。世界トップレベルの
試合を見て、打ち方やラリーのイメージトレーニングを行うことは、年代を問わず非
常に重要な専門トレーニングです。

これらの専門練習と専門トレーニングを総合的に実施することで、バドミントンの技
術が向上します。

陸上や水泳のような同じような動作を繰り返すスポーツではないバドミントンは、競
技力を構成する要因のなかでも技術の重要度は高いと言えるでしょう。


さて、今までバドミントンの競技力を構成する要因である「コート内移動スピード」
「スタミナ」「技術」と、それらを向上するための向上因子(専門練習と専門トレー
ニング)を示してきました。私達は、試合で勝った要因や負けた原因を追究して次に
ステップアップできるようにしたいと考えます。そのためには、競技力を向上するた
めの3つの要因とその向上因子を鑑み、選手の長所と改善すべき課題を把握しなけれ
ばなりません。そして、練習計画において競技力を向上るための具体的な練習・トレ
ーニング方法を示し、練習で実践する必要があります。根性論や精神論は、ときには
必要ですが、それだけに終始すると、選手は具体的な方向性が見えず競技力が停滞し
てしまいます。


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  1. 2016/02/04(木) 08:00:05|
  2. 理論
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どうしたらスタミナがつくの?

今回は、前回に続いての理論編です。前々回でバドミントン競技力の概念が理解でき
たと思います。前回は、コートを速く動けるようになるための練習とトレーニングを
説明しました。今回は、スタミナについて説明します。スタミナ向上については2015
年7月9日記事「スピードを抑えて練習する選手」、2015年3月16日記事「ダブルス全
面フリーノック」、2013年11月11日記事「打ち合いの練習でスタミナを向上させるに
は?」、2013年5月11日記事「終了は選手が決める!」、2013年4月27日記事「ラン
ニング神話から目覚めよ!」などで部分的に記載してきました。今回は、それらの総
論になります。
下の図は、スタミナを向上するために練習とトレーニングの内容を示したものです。

◆バドミントンのスタミナ向上
試合時のスタミナ向上

図の中の下部分が、基礎練習です。基礎練習のうち総合練習、部分練習、ノック練習、
フットワーク練習がスタミナ向上のための専門練習になります。
総合練習・部分練習は、打ち合いの練習ですが、打つショットやコース、打つエリア
などを指定して攻撃や守備のバリエーションを増やすことが狙いです。併せてシャト
ルを数個持ちラリーが途絶えても直ぐにシャトルを出し、ラリー時間を長く続けるこ
とで試合よりも運動強度を高め、スタミナを向上します。注意点は、手持ちのシャト
ルが途絶えたら必ず休息の時間をとりましょう。休息の時間をとることで、連続運動
ではなく間欠運動になり動いている間、スピードを上げる(運動強度を上げる)こと
が可能になります。この練習は、30分間続けて打ち合うようにしましょう。

スタミナ練習は、ノック練習とフットワーク練習があります。30秒から1分30秒間コ
ートを全速で動き、動いた時間と同じ時間を休息しオールアウトまで実施します。2
名1組で交互にコートに入って練習します。総合練習・部分練習・スタミナ練習は、
中学生になってから本格的に練習を行いましょう。小学生は、ある程度追い込んで練
習する必要はありますが、オールアウトまで実施するのは避けましょう!

専門トレーニングは、低負荷高回数実施する筋持久力のトレーニングです。中学生か
ら実施します。

チャンス球を飛びついてスマッシュを打つ、ネット際の球を飛びついてプッシュする、
シングルスでやっとシャトルに触ってレシーブした体勢から急激に立ち直るなどパワ
ーの断続的な発揮は、スタミナをロスします。これを解消するために筋パワーのトレ
ーニングが必要です。このトレーニングは、最大筋力向上のトレーニングと併せて実
施することで効果が増します。高校生から実施しましょう。

ミドルパワー(乳酸系)のトレーニングは、30秒から1分30秒間最大スピードで行うコ
ート外のトレーニングです。中距離ダッシュ、坂道ダッシュ、階段の上り下りなどが
代表的なトレーニング方法です。このトレーニングも試合を意識して運動と休息の比
率を1対1にして実施しましょう。本格的に実施する時期は、中学生からです。

これらの専門練習と専門トレーニングを総合的に実施することで、バドミントンのス
タミナが向上します。

<上記の練習・トレーニングを初めて取り組む方へ>
上記の練習・トレーニングは、選手個々の現在の能力を把握して、無理のない時間・
セット数・負荷を設定してから始めましょう。そこから長い期間をかけて徐々に時間
を増やしたり、負荷を上げていくことが必要です。


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   以下のメールアドレスに問い合わせして下さい。質問も⇒ iino@quartz.ocn.ne.jp 

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  1. 2016/01/28(木) 08:00:15|
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どうしたら速く動けるの?

今回は、前回に続いての理論編です。前回でバドミントン競技力の概念が理解できた
と思います。競技力を構成する大きな要因の1つがコート内を速く動けることです。
速く動けるように
なるには、どのような練習とトレーニングを行ったらよいのでしょうか?
下の図は、コート内を速く動くための練習とトレーニングの内容を示したものです。

◆コート内移動スピード向上
コート内移動スピード向上

図の中の下部分が、基礎練習です。ゲーム練習、コート全面でシャトルを打ち合う総
合練習、コートの半分や4分の3などを使って打ち合う部分練習、選手を強制的に動
かすノック練習、フットワーク練習、苦手なショットが打てるようになったり、ショ
ットのコントロールを向上するための技術練習から構成されています。
これらのうち、ノック練習とフットワーク練習がコート内を速く動くための専門練習
になります。正しいフットワークをベースにしてコートを速く動く練習を行います。
コートを速く動く練習の条件は以下のとおりです。

◆コートを速く動くためのノック練習・フットワーク練習の条件
◎選手は、コート内を全速で動く
◎動いている時間は、10秒~20秒
◎運動と休息の時間比は、1対3以上
◎セット数は、4~6セットまで
◎週の実施頻度は、2回まで(2日連続で実施してはいけない)
 例:週1回をスピードノック練習、週1回をスピードフットワーク練習
 スピードフットワーク練習の代表的な例が、ブログでも紹介しています4点椅子タ
 ッチタイム測定や椅子を2つ使用して前後に速く動くスピード練習です。

専門トレーニングは、最大筋力向上のトレーニング、アジリティトレーニング、プラ
イオメトリックトレーニングがあります。
速く動くためには、筋肉が速く収縮し、大きな力を発揮する必要があります。また、
シャトルをやっと触って返球する際に体勢が崩れますが、その状態から立ち直りを速
くする必要があります。それらを達成するために最大筋力向上のトレーニングを実施
します。このトレーニングは、高校生になってから本格的に実施しましょう。

動き始めを速くしたり、方向転換を速くしたりするためのトレーニングがアジリティ
トレーニング(クイックネストレーニングを含む)です。足を細かく速く動かし、一
定方向やいろいろな方向へ素早く動く練習です。ラダートレーニング、アトミックハ
ードル(低いハードル)を使用したミニハードルトレーニング、ステップトレーニン
グなどがあります。このトレーニングは、小学生から実施しましょう。

つま先立ちで床を強く蹴って速く移動したり、動き始めや方向転換時に爆発的な力を
発揮するためにプライオメトリックトレーニングが必要です。代表的なトレーニング
は、縄跳びやジャンプトレーニングです。小学生からトレーニングを開始しますが、
着地の衝撃が大きくなるようなジャンプは避けましょう。

これらの専門練習と専門トレーニングを総合的に実施することで、コート内の移動ス
ピードが向上します。


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  1. 2016/01/21(木) 08:00:41|
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プロフィール

Author:飯野佳孝
●主な著書&DVD制作
バドミントン教本「基本編」
バドミントン教本「応用編」
バドミントン教本「Q&A」
DVD見てうまくなるバドミントン教本
目でみるバドミントンの技術とトレーニング
「ナイスショット勇羽」原作者 他
●NHKスポーツ教室 企画・解説・指導
2001年・'02年・'03年・'05年
・'06年・'07年・'09年・'10年
●コーチングセミナー専任講師
●全日本ジュニア研修合宿指導委員長
1992年~2007年
●選手としての主な成績
デンマークオープンダブルス優勝 1979年
全英選手権ダブルス3位 1979年
カナダオープンダブルス優勝 1977年
 ペアは全て土田証雄氏

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