バドミントン飯野佳孝イズム

選手を強くしたい指導者と強くなりたい選手のためのブログです。

チェンピン再来日

1988年、ヤマハ株式会社(当時の日本楽器製造株式会社)は、中国との関係強化、内
なる国際化、チームの強化、バドミントンの普及発展を目的に、中国体育服務公社・
中国バドミントン協会との間でチェンピン(Qian Ping)、グージャーミン(Gu Jia Ming)
の2名をヤマハ株式会社に受け入れる契約を締結しました。
当時、バドミントン界はもちろん、各スポーツ団体でも現役バリバリの世界のトップ
レベル選手が日本へ来て活動することは非常に珍しいことでした。

*チェンピン(Qian Ping)の主な戦績
1984年全英オープンシングルス3位・世界選手権シングルス3位、1987年全英オープン
シングルス準優勝・ドイツオープンシングルス優勝・スカンジナビアオープンシング
ルス準優勝。

*グージャーミン(Gu Jia Ming)の主な戦績
1986年全英オープンシングルス3位・香港オープンシングルス3位、1987年世界選手権
シングルス3位、1988年世界選手権シングルス準優勝・全英オープンシングルス優勝

両名が来日して1週間もたたないうちに、東京にあるソニーフットネス研究所で体力
測定を行いました。体力が低下しないうちに測定したかったのです。測定内容は、体
重、体脂肪率、体前屈、全身反応時間、背筋力、握力、筋のピークトルク、パワー、
最大酸素摂取量、ATです。

この中でAT(無酸素性作業閾値:Anaerobic Threshold) の値が非常に優れて
いることが分かりました。

今までバドミントンのスタミナ向上を図るためには、長距離走(ランニング)が中心
であり、毎日のように走り込みを行うチームが多くありました。しかし、バドミント
ンでは、AT値を高めることがスタミナ向上には欠かせないことが分かり、練習・ト
レーニング内容を大きく変えるきっかけになりました。

スタミナ向上の練習・トレーニングの概念と具体的な方法は、2016年1月28日公開記
事の「どうしたらスタミナがつくの?」および関連記事、バドミントン教本応用編を
ご覧ください。

体力測定の内容は、バドミントンマガシンで連載、専門誌「目でみるバドミントンの
技術とトレーニング」(大修館書店1994年発行)で一部掲載、バドミントンコーチン
グセミナーで資料配布・講演、各地講習会、全日本ジュニア研修合宿などで広く普及
を図りました。

バドミントンマガジンで連載した内容は、以下の項目をクリックしてご覧いただけます。
変色しているページがあり見づらくなっていますが、ご了承をお願いします。

◆バドミントンマガジン掲載内容


注:文中の広田=廣田 彰氏(現宮崎大学名誉教授(専門は運動生理学):コーチング
セミナー講師)、宮村=宮村 司氏(現常葉大学教授:当時ヤマハ強化クラブトレーナ
ー)です。

<廣田彰氏のコメント>
28年前の世界トップレベルの選手のデータが今日でも生きていると痛感しているとこ
ろです。このデータは我々にとっては理論と実践が結びついた証でもありました。

バドミントン競技のスタミナづくりの課題に取り組んでいたころ、従来のいわゆる「長
い距離の走り込み」の方法が実際のバドミントン競技の激しい動きの繰り返しに合わな
いことを痛感し、より無酸素的な動きをスタミナづくりの方法として導入することを考
えていました。そこで導入した指標がATという値でした。AT(無酸素性作業閾値:
Anaerobic Threshold) は無酸素的エネルギー供給機構が働き始めるポイントを示した
もので、この値がバドミントン競技のスタミナの指標になると考えたのです。つまり、
高い運動強度(激しい動き)まで有酸素的エネルギー供給機構によるエネルギー供給が
行われるために,乳酸が産生されず,長時間の運動が可能であるということで、この値
の高い競技者ほど競技成績も良いということです。

バドミントン競技のゲーム中の激しいラリーの応酬はまさに無酸素的な動きであり、こ
の動きに十分に適応する呼吸循環機能を保持している人こそバドミントン競技のスタミ
ナの持ち主であると考えたのです。

体力測定の結果、ヤマハ中国選手2人のATは日本選手のそれより高い値を示していま
した。二人が世界のトップ選手として活躍した背景にはそのような高い身体能力を備え
ていたことが一因であったと思いました。それからは、二人の練習方法をつぶさに調べ
たり、更にはその後実現した中国ナショナルチームとヤマハチームとの北京での合同練
習を通して、その具体的な方法を探ってきました。そして、その集大成が現在、飯野さ
んが各地の講習会で実践されているスタミナづくりの具体的に練習方法なのです。バド
ミントン指導の中でこのような理論を考え、その実践方法を示したのは当時としては初
めてであり、画期的なものであったと思っています。

注:ATは、最近ではより具体的な指標として、乳酸性作業閾値(LT: Lactate Threshold)
、換気性作業閾値(VT: Ventilation Threshold)、血中乳酸蓄積開始点(OBLA: Onset of Blo
od Lactate Accumulation)などを用いるようになってきていますが、これらを総称したも
のをATと呼んでいる場合もあります。


24歳で来日したチェンピンは、現在52歳になりました。先日、家族と共に観光で来
日し20数年ぶりの再会となりました。そこで最初に思い出すのが、この体力測定です。
体力測定は真剣に取り組んでもらい、本当に貴重なデータを得ることができました。
ありがとうございました。

◆再来日したチェンピン
チェンピン

もう一人のグーさんは、みなさんご存じのとおり、現在東京に在住し日本のバドミント
ンの普及発展に寄与されています。

<エピソード>
来日して荷物を解く間もなく東京で体力測定を行いました。測定が終わったら次の日に
ディズニーランドへ連れて行くからと言って説得したのを覚えています。チェンピンも
そのことを覚えていて大笑いになりました。

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プロフィール

Author:飯野佳孝
●主な著書&DVD制作
バドミントン教本「基本編」
バドミントン教本「応用編」
バドミントン教本「Q&A」
DVD見てうまくなるバドミントン教本
目でみるバドミントンの技術とトレーニング
「ナイスショット勇羽」原作者 他
●NHKスポーツ教室 企画・解説・指導
2001年・'02年・'03年・'05年
・'06年・'07年・'09年・'10年
●コーチングセミナー専任講師
●全日本ジュニア研修合宿指導委員長
1992年~2007年
●選手としての主な成績
デンマークオープンダブルス優勝 1979年
全英選手権ダブルス3位 1979年
カナダオープンダブルス優勝 1977年
 ペアは全て土田証雄氏

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