バドミントン飯野佳孝イズム

選手を強くしたい指導者と強くなりたい選手のためのブログです。

ウォーミングアップ不足【質問】

以下の質問が指導者のA氏からありましたのでブログで回答します。

<質問>
先日、小学生の大会があり指導している選手が参加しました。試合では十分なパフォ
ーマンスが発揮できなく1回戦で敗れてしまいました。1ゲーム目は、テンションが
上がらず、いつものようにスロースタートです。非常に緊張していてシャトルを必死
で追いかけるわけでもなく、負けてしまいました。2ゲーム目になって、ようやくシ
ャトルに食らいつくようになり、ファイナルに持ち込めるのかな~というところでゲ
ームを取られ、敗れました。1ゲーム目からテンションを上げれば試合展開が変わっ
ていたかもしれません。ウォーミングアップで心拍数をもっと上げなくてはならない
のかなと考えています。スロースタートを回避しスタートさせられるようなウォーミ
ングアップは、何を、どれくらいの時間を行えばよいのでしょうか?
毎回毎回の試合時の悩みです。
当日は、体育館の開館までの時間を利用し、体育館の周りをランニング、体操、そし
て筋をよく伸ばし怪我防止にとダイナミックストレッチ。そのあとはラケットを使用
すると周囲に危険なので、エアーで素振り、フットワーク、また、縄跳びを二重跳び
で数十回。で計20〜30分程度行いました。
当日は早朝でも日差しが強く、かなり気温も上がっていました。子供達の熱中症や疲
労も心配でしたので、あまり長い時間行わないよう心がけました。
ただ、他チームのジュニアは走る距離、アップに費やす時間も半端なく、選手達もそ
れに慣れているのか、かなり長い時間アップしていました。

<回答>
以下のとおり回答します。試合で負けた原因は4つのことが考えられます。

1. ウォーミングアップ不足(運動強度不足)
<基本的な考え方>
バドミントン競技で動く際のエネルギーは、主に糖です。糖はバドミントンのトップ
レベルの試合では、運動強度が高く断続的な運動で約90分で枯渇してしまいます。
従って長時間ハードなウォーミングアップを行えばその分、残りの糖(エネルギー)
が少なくなります。ウォーミングアップでは、試合中の運動強度まで心拍数を上げる
必要があります。試合中の運動強度まで上げるには、それなりの時間を要します。普
段の練習でウォーミングアップのルーチンを確定しておくことも必要です。一般的に
は、夏は20分前後、冬は30分前後を目安にしましょう。但し、勝ち進んで2試合
目以降になると短時間で心拍数を上げることが出来るので、ウォーミングアップの時
間は、短時間で済む場合があります。
練習で試合を行った際、終了後、もしくは1ゲーム目終了後に心拍数を計ってみてく
ださい。ラリーが長く続き、接戦の試合の時の心拍数を計る必要があります。計り方
は、手首、首、心臓の近くに指を当て15秒間数え4倍にします。試合中の心拍数を
覚えておいて、ウォーミングアップ時の心拍数と対比して目安を覚えておくのも一つ
の案ですし、選手への動機付けにもなります。
選手の年齢や個人差、試合内容にもよりますが、一般的なシングルスの試合中の心拍
数は、170~190位で推移します。

<具体例>
ウォーミングアップの目的は、怪我を予防するため筋温を上げ、筋肉を伸ばし関節
可動域を広げます。さらに試合中の運動強度まで心拍数を上げると共に試合に臨む気
持ちを研ぎ澄まします。最初に筋温を上げるには、ランニングやステップ走、縄跳び
などでいいと思います。動的ストレッチ後に運動強度を上げ、試合に向かい心身共に
臨むには、バドミントンの動きに近い動作や動作そのものがいいでしょう! フット
ワークが最適ですが、ある程度のスペースや地面の正常な状態が必要ですし、後方へ
の動きに注意が必要です。狭いスペースしかなかったら、スピードを上げたサイドに
動くフットワークや飛びつきで心拍数を上げましょう!目安は、20秒~30秒×3
~4セットです。その場でラケットを持ち素振りで連続スマッシュを行う方法もあり
ます。運動連鎖を意識し、最大スピードで10回×2~4セット行いましょう!
  試合前にシャトルを打つ時間が短時間でもあれば、ダイナミックに動く必要があり
ます。スマッシュ交互や半面でパターンを決めて打ち合うこともいいでしょう。
しかし、あくまでもエネルギーの無駄使いにならないよう注意が必要です。
なお、ランニングを長時間行ったら筋温は上昇しますが、バドミントンの試合中の運
動強度まで到達するのは困難です。ランニングではなくダッシュなら可能です。連続
運動ではなく、バドミントンの動きでスピードを上げた間欠運動がベストです。
目的と方法を明確にして実施する必要があります。
質問内容で当日ウォーミングアップした種目と時間を見ると、量的には問題ないと思
いますが、運動強度が不足している可能性があります。試合になるとフルスロットル
【full throttle】近くで動きますので、ウォーミングアップでも短時間で結構ですので
フルスロットル近くまで運動強度を上げ、体を慣らしておく必要があります。

2. 試合の雰囲気に慣れていない
しばらく正式な試合から遠ざかっていると、第一試合目は特に緊張します。これが影
響したかもしれません。

3. 実力不足
対戦相手と最初打ち合っていると相手の実力が分かってきます。自分より相手の実力
が数段上だと察知し萎縮したかもしれません。2ゲーム目は、対戦相手が余裕を持っ
たため、合わせてきたかもしれません。
緊張している時、頼りになるショットがないため、アウトが多かったり、コート中央
にシャトルが集まったかもしれません。技術練習のコントロール練習が少なく、もし
くは実施していないため、ここに打っておけば安全だとか、返球コースが限定される
等のコースやエリアへ正確に打つことができなかったかもしれません。コントロール
を良くし、自信を持ったショットを打つためには膨大な数を打つ必要があります。ま
た、よくなったと感じても、しばらく打っていないと微妙にコントロールが狂います。
継続して練習する必要があります。

4. 性格がやさしい(闘争心があまりない)
性格的なことも考えられます。
また、選手自身、試合の目標が明確になっていなかったかもしれません。

以上の要因が複数重なったかもしれません。一つ一つ解決してみてください。

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Author:飯野佳孝
●主な著書&DVD制作
バドミントン教本「基本編」
バドミントン教本「応用編」
バドミントン教本「Q&A」
DVD見てうまくなるバドミントン教本
目でみるバドミントンの技術とトレーニング
「ナイスショット勇羽」原作者 他
●NHKスポーツ教室 企画・解説・指導
2001年・'02年・'03年・'05年
・'06年・'07年・'09年・'10年
●コーチングセミナー専任講師
●全日本ジュニア研修合宿指導委員長
1992年~2007年
●選手としての主な成績
デンマークオープンダブルス優勝 1979年
全英選手権ダブルス3位 1979年
カナダオープンダブルス優勝 1977年
 ペアは全て土田証雄氏

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