バドミントン飯野佳孝イズム

選手を強くしたい指導者と強くなりたい選手のためのブログです。

世界トップレベル選手になるには?【質問】

大学で指導されているD氏から質問がありましたので、ブログでも回答します。

Q:大学で男子選手の指導を行っています。現在、世界の男子トップ選手の中で日本選
手が割り込んでいくには、非常に大変だと感じています。特にシングルスは、ジャパ
ンオープンでも本選から出場できる選手がいません。世界トップレベルに近づくには、
どのような練習・トレーニングを実施して行けばいいのでしょうか?

飯野:世界トップレベル選手と日本選手の大きな違いは、瞬発力の差とその持続力で
す。瞬発力と言った方が,イメージ的に分かりやすいので使いましたが、今後「筋パ
ワー(きんぱわー)」という言葉で表現します。筋パワーとは、筋肉が素早い動きの
中でどれだけ強い力を発揮する能力があるかを表すものです。学術的には,「筋パワ
ー=筋力×スピード」と定義されており,力とスピードの両方の要素を含んでいます。
筋パワー不足とは具体的には、スマッシュのスピード、サイドへの飛びつきを含めた
ジャンプ力、コート内移動スピードに差があります。

Q日本の練習・トレーニングに問題があるのでしょうか?

飯野:各世代で練習してきた蓄積の結果が、現在のレベル差になっているので一概に
大学の練習方法に問題があるとは言い切れません。筋パワーのトレーニング不足及び
それを継続して実施してこなかった結果だと考えます。筋パワーの基盤が筋力です。
最大筋力を向上させることで速筋繊維の肥大を図り、コート内を速く動けたり、大き
な力を発揮することが出来ます。それを基にしてスピードの要素を含めた筋パワート
レーニングを実施すべきです。筋パワーの代表的なトレーニング方法でイメージしや
すいのは、比較的負荷の軽いバーベルを担いで素早くジャンプを繰り返すものです。
また、ウェイトジャケットを着て、ジャンプを繰り返すのもいいでしょう。また、発
揮パワーを高めるプライオメトリックトレーニングも必要です。無負荷のジャンプト
レーニングや縄跳び(二重跳び)などが含まれます。
両方のトレーニング方法を紹介する雑誌は、一般に市販されていますので購入可能で
す。実施条件を守り行ってください。

Qスピード練習は、ようやく普及しつつありますが・・・。

飯野:いい方向に行っています。しかし、未だに根強いのが、ランニングです。(長
距離走)。バドミントンのスタミナ向上のためには、ランニングを行うのは当たり前
だという固定観念があります。非常に残念です。

Q:なぜ長距離走では、バドミントンのスタミナが向上しないのでしょうか?

飯野:バドミントンは、非日常的で複雑な動きをスピーディに行います。その動作を
繰り返し行うことでよりスムーズに、そして省エネで動くことができるようになりま
す。
ランニングのような単純な動作を繰り返す競技ではないのです。
それでは、ランニングとバドミントンの動作を比べてみましょう。
<動く方向>
バドミントン:前後、左右、斜め前斜め後ろと多方面に動きます。いずれもその後、
素早く立ち直って方向転換を行います。

ランニング:前方しか移動しません。

<移動時の足の運び方=フットワーク>
バドミントン:ツーステップ、サイドステップ、クロスステップ、継ぎ足(シャセ)
が中心です。

ランニング:左右の足を前方へ交互に出します。

<インパクト時の体の動き>
バドミントン:両サイド・斜め後方に飛びついて打つ、垂直方向へジャンプして打つ、
両足を空中で入れ替えて打つ、ネット前に飛びついてプッシュする。ネット前&サイ
ドで右足を出し両足を開いて固定して打つ(右利き選手)。

動作だけを見てもこんなに大きく違います。バドミントンの動作は複雑ですので、フ
ットワーク練習やノック練習、打ち合いの練習などを行い、動作の熟練度を向上しな
ければいけません。


Q:某専門誌で優勝したのは、ランニングを毎日実施していたからだ・・などと記載
された記事が過去ありました。それを読んだ父兄、指導者、選手は盲目のようにラン
ニングは必要なんだと思い込んでしまっています。

飯野:バドミントンとランニングの違いは、動作だけではなく運動強度が違います。
運動強度というとピンとこないと思いますが、「運動が激しい」「動くスピードが速
い」と解釈してもいいと思います。例えばランニングを30分走れる選手が、フット
ワーク練習を試合と同じスピードで30分行ってみてください。バドミントンのフッ
トワーク練習の方が、運動強度が高いため続けることは困難です。
レベルが高い選手と試合をするとラリー時間が長くなったり、いつもより速く動くた
め乳酸が大量に生成されます。それを繰り返すと動きを遅くするか、動きをストップ
するしかなくなります。これがスタミナ低下の大きな要因です。
速く動いて長く続けられ、シャトルなどを拾うなどの短い休み時間をはさみ、これを
繰り返し長く続けられる選手が、バドミントンのスタミナがあるといいます。
バドミントンのスタミナ向上の練習・トレーニング方法は、過去の私のブログ記事に
記載していますので、一読してください。
バドミントン競技のスタミナは、ランニングのような運動強度が低い動作を継続する
「有酸素運動の持久力」で養われるのではなく、高い運動強度で長く動き短い休憩を
はさみ、それを繰り返す「スピード・パワーの持久力」で養われる競技だと認識すべ
きです。このように認識することで、練習・トレーニングの方向性が明確になると思
います。
従いまして、ランニング(長距離走)は、バドミントン競技のスタミナ向上には直接
的にはつながらないと結論づけています。しかし、長期間運動していなかった選手は、
ランニングから開始して徐々に体を運動に慣らして行く必要があります。また、少し
スピードを落として走れば疲労回復の手段としては非常に有効です。

Q:世界のトップレベルの女子選手も同様でしょうか?

飯野:女子選手も同様です。練習・トレーニング方法は、男女差はありません。
リオオリンピックの女子シングルス決勝を見ると、コート内移動スピード、スタミナ、
技術共、男子トップ選手と大きな差はないように感じられました。女子選手もスピー
ド、パワーの時代に既に突入しています。

Q:ありがとうございました。これらを参考にして練習計画を見直します。


にほんブログ村バドミントンランキング参戦中 ←クリックすると他のバドミントンブログ一覧を見ることができます

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎指導を希望される選手やチームもしくは講習会開催、合宿指導の希望がありましたら、
   以下のメールアドレスに問い合わせして下さい。質問も⇒ iino@quartz.ocn.ne.jp 

◎ブログに掲載した動画は一部を除きYou Tubeから直接見ることができます。
   You Tubeを開き「飯野佳孝」で検索してください。チャンネル登録歓迎!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
スポンサーサイト
  1. 2016/11/28(月) 08:00:02|
  2. 方針
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<世界トップレベル選手になるには?-2【質問】 | ホーム | 2nd-Wing武生JBC講習会終了>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://iinoism.blog.fc2.com/tb.php/265-1e1782b0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Author:飯野佳孝
●主な著書&DVD制作
バドミントン教本「基本編」
バドミントン教本「応用編」
バドミントン教本「Q&A」
DVD見てうまくなるバドミントン教本
目でみるバドミントンの技術とトレーニング
「ナイスショット勇羽」原作者 他
●NHKスポーツ教室 企画・解説・指導
2001年・'02年・'03年・'05年
・'06年・'07年・'09年・'10年
●コーチングセミナー専任講師
●全日本ジュニア研修合宿指導委員長
1992年~2007年
●選手としての主な成績
デンマークオープンダブルス優勝 1979年
全英選手権ダブルス3位 1979年
カナダオープンダブルス優勝 1977年
 ペアは全て土田証雄氏

最新記事

カテゴリ

未分類 (16)
技術 (55)
セミナー/講習会 (84)
フットワーク (8)
愛用品 (9)
練習会 (6)
戦法 (9)
メンタル (2)
方針 (16)
練習方法 (33)
講義 (2)
トレーニング (9)
ウォーミングアップ (2)
ノック技術 (10)
練習計画 (7)
理論 (8)

月別アーカイブ

アクセスカウンター

最新コメント

コメントフォーム(質問・依頼は別途) 

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア

にほんブログ村 その他スポーツブログ バドミントンへ
にほんブログ村

最新トラックバック

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR