バドミントン飯野佳孝イズム

選手を強くしたい指導者と強くなりたい選手のためのブログです。

世界トップレベル選手になるには?-2【質問】

高校で指導されているM氏から質問がありましたので、ブログでも回答します。

M:前回のブログ記事は、大変参考になりました。バドミントンのスタミナについて、
もう少し詳しく説明をお願いします。

飯野:それではまず最初は、バドミントンの試合でスタミナが低下する主な要因を挙
げてみましょう!

1. グリコーゲンの枯渇
バドミントンのような運動強度の高い運動の中心的なエネルギー源がグリコーゲンで
す。グリコーゲンの貯蔵量には限度があり、試合内容や個人によって異なりますが一
般的には、約90分で枯渇してしまいます。
1日の試合数が多かったり、長時間の試合では、このグリコーゲンの枯渇によるスタ
ミナ低下が考えられます。

2. 水分、ナトリウム・カリウムなどのミネラルの不足
近年、練習中や試合中にスポーツドリングなどを飲む習慣が定着しています。継続し
て水分などの補給を行いましょう!

3. 緊張感の持続による精神疲労

4. 主要部位の筋肉疲労
バドミントンでは、筋持久力・最大筋力・筋パワーの筋力トレーニングが必要です。
質の高い練習を長時間実施したり、怪我を予防するためにも筋力トレーニングは不可
欠です。各トレーニングの本格的な開始時期の目途は、筋持久力は中学生から、最大
筋力と筋パワーのトレーニングは、高校生になってから行いましょう。

5. 乳酸の大量蓄積
試合中、普段より動くスピードが速くなったり、ラリー時間は長くなったり、ラリー
間シャトルを拾うなどで休む時間が短くなったりした場合、それを繰り返すと乳酸が
大量に生成され、許容量を超すと運動を抑えるか、運動をストップしなければならな
くなります。試合中、早く決めにかかったり、シャトル交換を頻繁に行い休みを多く
取ろうとする場合は、この乳酸の蓄積によるスタミナ低下が考えられます。

M:それでは、次にスタミナ低下の大きな原因になる乳酸について教えてください。

飯野:A選手とB選手がシングルスの試合を行っています。A選手はB選手より競技レ
ベルが高くスタミナもあります。A選手は、コートを速く動き、簡単なエラーはしま
せん。A選手が打つショットのテンポは速く、それに対応するためB選手も速く動か
なければいけません。A選手は簡単にエラーしないため、お互いのラリー数が多くな
ります。B選手は、普段の練習時より運動強度が高いため乳酸が大量に生成されまし
た。そして、乳酸の蓄積が許容量を超えたため、頻繁に休みを取ろうとします。しか
し、A選手は、顔色ひとず変えず、すぐにサービスを出そうとします。とうとうB選
手のスタミナが切れて集中力も途絶えました。こうしてA選手は、試合の後半楽にラ
リーを展開し勝ち上がりました。
こんなストーリーが考えられます。
A選手のように乳酸の蓄積を抑えられるようになるにはどうしたらいいのでしょうか?
それは、練習やトレーニングで乳酸を大量に生成することを繰り返し行うことで、体
が適応して行きます。

M:苦しい練習内容ですね!

飯野:勝つことを目的とした競技スポーツは、残念ながら健康になるために行っては
いないのです。

M:具体的には?

飯野:乳酸を大量に生成するためには、乳酸系(解糖系)の練習・トレーニングを実
施します。30秒~1分30秒の間、最大スピードで動きます。ノック練習やフットワー
ク練習がバドミントンの動きであり直接的です。例えば30秒最大スピードで動くノッ
クを行って、30秒休みます。これを、もうこれ以上できなくなるまで繰り返します。
週2回~3回実施します。中学生から積極的に行ってください。

M:小学生はどうですか?

飯野:小学生は、スタミナが大きく向上する時期ではありません。動く時間を短く、
休息時間を長くして行いましょう。例えば、中級レベル以上の選手でしたら、20秒動
いて40秒位の休息です。オールアウトまで実施する必要はなく、無理のない範囲のセ
ット数で行いましょう。中学生以上の選手も、最初から30秒最大スピードで動いて、
30秒休息を入れて繰り返すことはできません。動く時間を短くし、休息時間を長くと
ることから始めましょう!

M:フットワーク練習は、どういった内容がありますか?

飯野:指示フットワークが一般的ですが、私のブログでスピード練習の動画を公開し
ていますので応用することができます。スピード練習は、10秒~20秒コート内を最大
スピードで動きますが、スタミナ向上のフットワーク練習は、同じ動きで30秒~1分
30秒間最大スピードで動いてください。

M:スタミナ向上に必要なミドルパワートレーニングとは?

飯野:乳酸系(解糖系)のトレーニングを言います。これもノックやフットワーク練
習と同じ考え方です。30秒~1分30秒間最大スピードで動き、動いた時間分休息し、
それを繰り返します。運動時間対と休息時間の比は、1対1です。トレーニングの例
として、縄跳び、階段の昇り降り、ダッシュなどがあります。
小学生は、先ほど述べたノック練習と同様の考え方です。

M:スタミナ向上の練習・トレーニングで注意する点はありますか?

飯野:チームで行う際、選手の体力レベル、スタミナレベルに応じて時間やセット数
を考慮してください。例えば、ノック練習で30秒動くノックを各種合わせて10セット
行うメニューがあったとします。10セットできない選手は、出来なくなった時点で終
了し、まだ余裕のある選手は、11セット目を45秒、12セット目を1分行うなど徐々に
動く時間を長くしてオールアウトまでもってゆきます。

M:個別性を重要視するということですね!

飯野:オールアウトは、選手の自己申告でもいいでしょう。
問題は選手の知識(意識)です、このことを十分理解してから実施しないと、選手は
手を抜いて行ってしまいます。乳酸が大量に生成されるので大変苦しい練習・トレー
ニングになります。出来たら避けたいと考えるのが普通です。

M:指導者と選手の共通理解が必要だということですね!
全体像が分かりました。どうもありがとうございました。


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Author:飯野佳孝
●主な著書&DVD制作
バドミントン教本「基本編」
バドミントン教本「応用編」
バドミントン教本「Q&A」
DVD見てうまくなるバドミントン教本
目でみるバドミントンの技術とトレーニング
「ナイスショット勇羽」原作者 他
●NHKスポーツ教室 企画・解説・指導
2001年・'02年・'03年・'05年
・'06年・'07年・'09年・'10年
●コーチングセミナー専任講師
●全日本ジュニア研修合宿指導委員長
1992年~2007年
●選手としての主な成績
デンマークオープンダブルス優勝 1979年
全英選手権ダブルス3位 1979年
カナダオープンダブルス優勝 1977年
 ペアは全て土田証雄氏

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