バドミントン飯野佳孝イズム

選手を強くしたい指導者と強くなりたい選手のためのブログです。

試合で通常のパフォーマンスを発揮したい!【質問と回答】

<質問>
私が指導しているK選手(高校生男子)は、先日県内トップレベルのS高校A選手と練
習試合を行いました。K選手は、技術があり体力レベルも高い選手です。しかし、A選
手に過去一度も勝ったことがありません。K選手は、今度こそA選手に勝とうと練習に
励み試合に臨みました。試合は3ゲームで1時間を超す大接戦です。しかし、残念なが
ら惜敗してしまいました。17点オールから気合を入れ過ぎて興奮しているのが明らか
で、平常心ではありませんでした。平常心を保ち通常のパフォーマンスを発揮するに
はどのようにすればいいのでしょうか?

<回答>
私は、スポーツ心理学の専門ではありませんので、深い知識はありません。今回は自身
で理解している内容だけ説明します。
K選手は、試合の終盤で「勝ちたい」「勝てるかもしれない」と強く考え高い興奮状態
に陥ったと推測します。それも敗因の一つになっているのかもしれません。
興奮の度合を、ここでは覚醒水準という言葉で表現します。
スポーツにおいて覚醒水準が低い水準から高い水準へ移行するとパフォーマンスも高
まります。しかし、それはある水準までで、必要以上に覚醒水準が高くなるとパフォ
ーマンスが低下することが多くの実験結果で明らかになっています。

下の図を見てください(Richard A.Schmidt著書より)。縦軸がパフォーマンスの高さ
で、横軸が各運動による最適な覚醒水準を3パターンに分けて示しています。

◆各運動による最適な覚醒水準
課題に対する最適な覚醒水準

図右の逆U字は、ラグビーや相撲など大きな力を発揮し体がぶつかり合うスポーツで、
高めの覚醒水準で最適なパフォーマンスを発揮します。図の左は、アーチェリーや卓
球など動きが比較的少なく繊細なスポーツは、最適な覚醒水準は低めになります。
さて、バドミントン競技の場合、高い覚醒水準の時にいいパフォーマンスを発揮する
のでしょうか? それとも低めの覚醒水準がいいのでしょうか? 
バドミントン競技の試合中は運動強度が高く、大きな筋群も頻繁に使います。一方、
ネットショットやラインを狙って打ったりするなど精密さも要求されます。そう考え
ると、図の真ん中にある逆U字の中間的な覚醒水準が最適だと考えます。
最適な覚醒水準を自覚し試合中維持することは、非常に困難です。特に重要な試合の
開始と接戦になったときに、興奮しすぎてしまいパフォーマンスが低下します。それ
を自身ではなかなか気が付かないこともあります。この場面に直面したらチームメイ
トや監督、コーチが選手に対して気づかせることが必要です。選手はその時、深呼吸
などでリラクセーション
できるように普段の練習時から、訓練しておくべきです。
また、試合開始時に覚醒水準が低くパフォーマンスが低下している場合は、試合前の
準備運動に問題がある可能性があります。ハードに動き試合中の心拍数に近づけたり、
サイキングアップの方法(覚醒水準を高める方法)を用いたりします。サイキングア
ップの代表的な方法は、リラクセーションのための深呼吸とは逆で,早い胸式の呼吸
を行います。

もう一つ考えられるのが、「負けたらどうしよう!?」「勝っていいのだろうか?」
など余計なことを考え、自身で心理的に追い込み不安になっていくことです。そうす
ると動きが固くなったり、力んでショットのコントロールが乱れてきます。
試合中の心の持ち方は重要です。
気持ちをポジティブな方向に向けるセルフトーク(独り言)などを用い、展開してい
るプレーにだけに集中
すべきです。
下の図は、ナイショット勇羽の最終号から引用しました。勇羽がI国の至宝ガルージャ
の愛弟子ルディチュン選手と世界ジュニアオリンピック大会シングルス決勝を戦って
います。3ゲーム目終盤での心理状態が勝敗を分けました。

◆ナイスショット勇羽最終号より
マイナスイメージ 

ナイスショット勇羽 ←クリックすると見ることができます。(ダウンロード&印刷可)

さて、これらの2つのことを理解し実力が十分発揮できるよう実行して行きましょう! 
しかし、K選手が負けたのは、K選手の競技力(戦う力)がA選手に劣っていただけかも
しれません。普段の練習でしっかりと鍛えることも忘れないでください。


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Author:飯野佳孝
●主な著書&DVD制作
バドミントン教本「基本編」
バドミントン教本「応用編」
バドミントン教本「Q&A」
DVD見てうまくなるバドミントン教本
目でみるバドミントンの技術とトレーニング
「ナイスショット勇羽」原作者 他
●NHKスポーツ教室 企画・解説・指導
2001年・'02年・'03年・'05年
・'06年・'07年・'09年・'10年
●コーチングセミナー専任講師
●全日本ジュニア研修合宿指導委員長
1992年~2007年
●選手としての主な成績
デンマークオープンダブルス優勝 1979年
全英選手権ダブルス3位 1979年
カナダオープンダブルス優勝 1977年
 ペアは全て土田証雄氏

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