バドミントン飯野佳孝イズム

選手を強くしたい指導者と強くなりたい選手のためのブログです。

見よ!小5のハイバック

見よ!シリーズ第3弾

今回は、ハイバッククリアーのフォームをハイスピードカメラで撮影した動画で見て頂き、
解説を行います。

 

今回紹介する選手は、前々回「見よ!小1のスマッシュ」で紹介した釧路市在住の阿部学斗
選手のお兄さんの
阿部奏大(あべ かなた:小5年生)選手です。撮影した日は、セミナー&
&交流会の最終日の3月26日ですので、4月以降の現在は6年生になっています。

奏大選手は、今回のセミナーと交流会で、初めて本格的なハイバックの練習を行いました。

 

■ハイバックの定義

ハイバックというと「high:高い」という名称のとおり、高い打点で打たなければならないという
固定観念があるようです。高い打点で打てるならば、回り込んでラウンドで打てるのでハイ
バックで打つ必要はありません。しかし、対戦相手は自身が回り込んで打てないように低い
ロビングなどで攻撃してきます。その時にハイバックを使う必要が出てきます。

実際は高い打点で打つ「ハイ:high」ではなく、バックハンドドライブで打つ打点を少し上げて、
自身の頭の上下付近で打つショットと考えましょう。従って名称を、ミドルバック「中間:
middle
と言ったほうが適切かもしれません。このブログでは、ハイバックとう表現で統一しますが、
実際には非常に高い打点で打つ必要はないと考えてください。

さて、小学生でハイバックをマスターする必要があるのかどうかですが、ハイバックのカット、
ドロップのストロークはマスターしたいですね。また、クリアーは身長に応じた飛距離を出せ
ば合格としましょう。フォアハンドクリアー(オーバーヘッドのクリアー)の飛距離も同様の考
え方です。小学生で身長が低い選手に対して、大人と同じ飛距離を要求してはいけません。

 

■私からの指導した内容は以下の通りです。

セミナーでは、ハイバックのカットとドロップの技術練習を行いましたが、クリアーの技術練習は
交流会の個人練習で行いました。奏大選手は、個人練習の時間に他の多くのショットを練習し
たのでハイバックのクリアーに要した時間は、15分程です。練習した後に即、撮影しました。
しかし、短時間の練習で尚且つ初めて本格的にハイバッククリアーを練習したので完成を100
%とすると80%の出来となりました。短時間で80%まで出来たのは感覚がいいことと技術の
下地があったからでしょう! 

奏大選手に指導した内容は以下のとおりです。奏大選手はサウスポー(左利き)なのでサウス
ポーに対する表現としました。

1.左足を着地し、左足に体重を乗せた後にインパクトすること

 

2.利き腕の肘を後方(相手コートとは逆方向)へ引き、引いた反動で肘を前方へ押し出すこと

    ストロークは、スウィングしながら前腕の回外運動(前腕回外は前々回の「見よ!小1のスマ
    ッシュ」で説明していますので参照願います)でラケットを回転させること

    ラケットの回転は、長いストロークの中で行うこと

 

3.インパクト前後では、膝関節や上半身を伸ばしてスウィングしないこと(下半身、上半身共
    伸びきってスウィングしないこと)、上半身は後ろに反らないこと

 

4.インパクト後は、ラケットを振り切ること


私から奏大選手に対して上記以外の詳細について説明が不足していました。従って、20%ほど
未完成の部分がありますので、このブログで補足レッスンを行います。

読者の皆さんもハイバックのマスターの一助になれば幸いです。

 

見よ!小5のハイバック ←クリックすると動画を見ることができます。

 

■私の指導に対する奏大選手のハイバッククリアーのフォームの解説

1.左足を着地し、左足に体重を乗せた後にインパクトすること

⇒奏大選手は、左足は踵(かかと)から着地し、次に左足基底面を床につけています。また、
膝を曲げ体重を左足に乗せていることが分かります。左足を着地した後、タイミングよくイン
パクトしています。
素晴らしいですね!

 

【注】ホームポジション付近からインパクトするエリアまで移動することで運動エネルギーが発
生します。その運動エネルギーは左足を着地することで、腕をスウィングする運動エネルギー
に変換されます。

下の図を見てください。車を運転していて急ブレーキをかけたら、搭乗者は前方へ回転しなが
ら投げ出されますね。このことは経験で理解していると思います。人も車も物体ですから同じ
現象が起きます。車の走行とコート内の移動は同じと考えてください。車の急ブレーキは、左
足の着地を意味しています。

従って、左足を着地した後、タイミングよくインパクトしなさい。という背景がここにあります。

 前進運動から回転運動変換

2.利き腕の肘を後方(相手コートとは逆方向)へ引き、引いた反動で肘を前方へ押し出すこと

⇒私から奏大選手に強調して指導したのが、肘の運動です。スマッシュやドリブンクリアーを打
つ時も、同じように利き腕の肘を引いてスウィングを開始していますね。それと同じ目的です。

左肘を引き、左肘を前方に出した後、左肘を少し曲げていた状態から伸ばす(肘関節の伸展)
ことで肘から先の前腕とラケットを加速しています。そのあと遅れて手、さらに遅れてラケットが
出てきてシャトルをインパクトしています。

奏大選手は、上記の内容を見事に達成しています。

 

【注】肘を後方に引いて、そこで肘を動かさず止めてから前方へ押し出す選手がいます。この
ようにすると肘を引いて発生させた運動エネルギーが「ゼロ」になります。

従って肘の運動は、ゆっくりでも動きを止めないようにしましょう。

 

3.ストロークは、スウィングしながら前腕の回外運動でラケットを回転させること

     ラケットの回転は、長いストロークの中で行うこと

⇒特にこの内容が説明不足でしたので詳細を説明します。

 

【注】下の図は、クリアーやドライブ、ロビングを打つ場合のストローク全体を簡素化したも
のです。ストローク全体でラケット面はインパクト面からインパクト面の裏の面に回転して
います。(必ず180度回転しなければならないことではありません)

ストローク

 

a.テークバックは図とは大きく違い、複雑な動きをしますので誤解のないようにしてください。
  テークバックでは、スウィングしながら前腕を回外します。これは、インパクト時にラケットの
  スウィングスピードを増すために行います。


b.インパクトはラケットの並進運動で飛距離を出すことから、ここでは分かりやすいようにイン
  パクト区間としました。インパクト区間でシャトルの方向性が決まります。

  初心者にバックハンドドライブを教えると、ラケットの回転を意識するあまり、ラケット面がシャ
  トルにフラットに当たらない場合が多くあります。インパクト時はラケットの並進運動を行い
  シャトルをフラットに当てることを意識しましょう!

 

c. インパクトの後をフォロースルーといい、シャトルのコントロールを向上させるために行います。

   インパクト直後にラケットを止めるようなストロークを行った場合は、インパクト前からラケットを
   減速していることになります。飛距離を出したい、速いショットを打ちたい場合は、フォロースル
   ーで前腕回外してラケットを振り切りましょう!

 

【注】上半身とインパクト時のラケット面の距離が遠くなければリストを立てて打つようにしましょう! 
そうすると前腕回外運動を強めることができスウィングスピードを増すことができます。

リストを立てる


⇒奏大選手は、もう少しリストを立ててスウィングしましょう!

 

【注】下の図のようにハンドル(ラケットを握る部分)を握っている親指を中心にしてハンドルを
ひねる
ことで飛距離を出しましょう。ハイバッククリアーでは、前腕回外と連動して行いましょう。

親指中心でハンドルひねる


⇒動画では、確認できませんでした。おそらく出来ていると思います。

 

4.インパクト前後では、膝関節や上半身を伸ばしてスウィングしないこと(下半身、上半身共
    伸びきってスウィングしないこと)、上半身は後ろに反らないこと

⇒奏大選手は最初、膝と上半身、利き腕の脇が上がり打点を高くして打ちました。そうすると
ラケットを速くスウィングすることが出来ず飛距離が出ませんでした。おそらく高い打点で打た
なければならないという固定観念があったのでしょう。しかし、アドバイスの一言で修正できた
ので能力の高さを感じました。

⇒奏大選手の動画の2回目以降のストロークでは、インパクト前後でシャトルの軌道を見よう
とするため頭が動いています。頭を動かすと両肩が動く可能性が高まります。従来のスウィン
グとは別に肩を動かすと
スウィングスピードが減速しシャトルのコントロールも不安定になる
ので注意しましょう! おそらく、クリアーが飛んだのかどうか確認したかったのでしょう。ラケ
ットを振り切ってからシャトルの軌道を確認
してください。

 

【注】上半身を後ろに反らしてハイバックを打ってみてください。ラケットを速くスウィングするこ
とが出来ないことが理解できると思います。上半身を後ろに反らす逆の動作をしてスウィング
してみてください。速くラケットを振ることが出来るのを実感できると思います。

 

【注】利き腕の反対の腕(ここでは右腕)は、意思で動かさないようにしてリラックスしましょう。

5.インパクト後は、ラケットを振り切ること

⇒奏大選手は、フォロースルーでラケットを振り切って前腕の回外運動を強調するともっと
よくなるでしょう。

 

■初心者の選手にアドバイします。ハイバック、バックハンドドライブ、バックハンドのロビング、
バックハンドのネットショットは図のようにバックハンドグリップで行いましょう! バックハンド
グリップは2つの方法がありますので、打ちやすい方を選択して下さい。

バックハンドグルップ

 

ハイバッククリアーも運動連鎖(前々回の「見よ!小1のスマッシュ」で説明)によって飛距離
を出すことを理解してもらったと思います。

 

奏大君、補足レッスンの内容は理解できましたか? 

ハイバッククリアーが完成したら報告してくださいね!

 

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テーマ:バドミントン - ジャンル:スポーツ

  1. 2013/04/13(土) 09:00:00|
  2. 技術
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

グリップ

ハイバッククリアを打つ際にはサムアップをせずにイースタンで打つべきだと教わったのですが、これは正しいのでしょうか?
どちらでも打てるのですが、個人的にはサムアップをすると親指で押し込みたくなり面が安定しなくなりそうで違和感があります。
  1. 2013/07/27(土) 06:01:58 |
  2. URL |
  3. かえ #z8Ev11P6
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

Author:飯野佳孝
●主な著書&DVD制作
バドミントン教本「基本編」
バドミントン教本「応用編」
バドミントン教本「Q&A」
DVD見てうまくなるバドミントン教本
目でみるバドミントンの技術とトレーニング
「ナイスショット勇羽」原作者 他
●NHKスポーツ教室 企画・解説・指導
2001年・'02年・'03年・'05年
・'06年・'07年・'09年・'10年
●コーチングセミナー専任講師
●全日本ジュニア研修合宿指導委員長
1992年~2007年
●選手としての主な成績
デンマークオープンダブルス優勝 1979年
全英選手権ダブルス3位 1979年
カナダオープンダブルス優勝 1977年
 ペアは全て土田証雄氏

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