バドミントン飯野佳孝イズム

選手を強くしたい指導者と強くなりたい選手のためのブログです。

桃田選手試合の感想

Adidas CHINA MASTERS のシングルス準々決勝桃田選手対 Jorgensen選手(デンマーク)の
試合をYou Tube のチャンネスbwfで見ることができたので個人的な感想を述べたいと思います。 
桃田選手は以前、NHKスポーツ教室のモデルとして出演してもらったこともあり、応援せずには
いられない選手です。

◆桃田選手試合


試合は人によっていろいろな角度から見ると思いますが、今回は桃田選手の技術、戦法、
体力にスポットを当てました。

<技術>
1. ネットプレーが非常に秀でています。ネット際で間をおいてネットへ返球したり、クロスネ
  ットを簡単に且つ正確に打つことができます。ネット際のスピンネット、クロスネット、タイ
  ミングを遅らせたネットショット、ロビングでラリーを優位に展開することができる選手です。

2. オーバーヘッドストロークでは、ウエスタングリップに近い握り方をしているのでストレー
  トと左方向(桃田選手から見て左方向)へのスマッシュやカットはコントロールやスピード
  がありますが、右方向へ打つスマッシュやカットは若干コントロールに難があるようです。
  (桃田選手のフォア奥から対戦相手右利き選手のバックサイドのクロス方向へ打つショット)

3. 改善が必要なのはフォアサイドのスマッシュレシーブです。1ゲーム目の序盤から中盤
  にかけてフォアサイドにスマッシュを打たれ何回かエラーしました。
  ラケットを並進運動でレシーブするため長めに伸びたり、ネットに引っかけたり、チャンス
  球になる確率が多いようです。ラケット面に垂直にシャトルを当てるとシャトルのコントロ
  ールが悪くなることは、選手ならピンとくるはずです。また、ノックでコルク及び羽根の側
  面を当てるとコントロールが良くなることは、ブログのノック技術の解説でも再三述べて
  います。さらに、ロングハイサービスに対してオーバーヘッドストロークを打つ際も、シャト
  ルのコルクと羽根の側面を同時に打っており、その結果シャトルのコントロールが向上
  することは実感できていると思います。
  ダブルスでドライブの打ち合いでシャトルが正確にラケット面に当たっているにも関わら
  ずネットに引っかけたりするのは、シャトルがラケット面に垂直に近い方向で当たり並進
  運動で打っているためです。

 ◆シャトルがラケット面に垂直に当たり並進運動をするとコントロールが悪くなる
シャトルがラケット面に垂直に当たる
 
 
  それでは、フォアサイドのスマッシュレシーブはどうしたらいいのでしょうか?
  ラケットを前方へ出しながら前腕を少しの角度だけ回内します。ラケットを前方へ押しな
  がらストロークの長い軌道のなかで少しの角度でゆっくり前腕回内するとシャトルの進行
  方向に向かって回転が加わり正確性が増します。

 ◆シャトルの進行方向に対して横回転が生じる
シャトル進行方向に横回転 

  相手スマッシュのスピードが増すに従い、ラケットを前方へ押す動作から少しずつ横方
  向へ動かす動作に変わってゆきます。前腕回内運動は同様に行います。
  サウスポーの選手は、フォアハンドのレシーブでは前腕回内運動を行いますが、バッ
  クハンドのレシーブでは、前腕回外運動をおこないます。
  打点が低い場合は、肩関節を支点にして腕とラケットを上方向に上げて飛距離を伸ば
  します。
  一番悪い例は、ラケットの反動動作を使って一度後方へ引いた反動で打つことです。
  シャトルを弾いて打つためシャトルをコントロールすることができません。インパクトする
  であろう打点の最短距離からラケットを起動開始し、ゆっくりラケットをスウィングします。
  飛距離を出すには、フォロースルーで飛ばしましょう。

<戦法>
1. ファイナルでは、相手選手がコート後方へ打ったショットに対してネットへ必ずと言って
  いいほど返球していました。そこで相手選手はネットへの返球に的を絞りネット前に詰
  めていました。時にはハイクリアーを打って相手選手をコート後方まで動かすことも必要
  です。

2. 桃田選手のネット前からのロビングが相手選手にとっては低いため、フォア奥へ飛び
  ついてカウンターを打たれたり、足を動かさずに返球されることが多くありました。
  相手コート後方へ高いロビングを打つと入り込まれてスマッシュを打たれるのが怖いた
  め低いロビングを多く打っていったのでしょうか? 一度聞いてみたいですね。

<体力的側面>
1. 2ゲーム目で桃田選手が17点を取った当たりから移動スピードが遅くなり足の動きが
  少なくなってきました。それと同時に集中力も切れてきました。完全なスタミナ不足です。
  原因として考えられるのは、①普段の練習よりラリー数が多くなった ②普段より移動
  スピードが速くなった、ことを断続的に繰り返すことで乳酸が大量に生成され、自身の容
  量を超えたため動きがスローダウンしたのかもしれません。
  もう一つはバドミントンのエネルギー源である糖(グリコーゲン・グリコース)の枯渇が
  考えられます。ガス欠状態になるわけですから動きが極端にスローになります。
  脳が働くためのエネルギー源は、糖になるので枯渇することで集中力もなくなります。

2. スマッシュのスピードが世界の一流選手の比べやや劣ることや、瞬間的に大きなパワ
  ーを発揮する能力が不足しています。パワーアップのためには、筋パワーのトレーニ
  ングが不可欠です。比較的軽い負荷の重量を速いスピードで動かすトレーニングです。
  筋パワーとは、筋力×スピードですので、ベースになる筋力の向上も当然必要です。
  トレーニング方法は最大筋力向上のトレーニングになります。最大筋力向上のトレー
  ニングと筋パワーのトレーニングを今以上に実施する必要があります。
  最大筋力向上のトレーニングと筋パワーのトレーニングを継続的に実施することは、ス
  タミナ向上にも大きなプラスになります。

3. ジャンプ力も、もう少し向上させたいですね。ジャンプ力を向上させるためにはジャ ン
  プトレーニングを実施すればよいのです。①高い台から飛び降りて、その反動で大き
  くジャンプする ②高いバーを幾つか並べ連続ジャンプする、等のプライオメトリックト
  レーニングがいいでしょう。上記2のトレーニングと並行して実施してゆくと課題の解
  決は早くなります。

*桃田選手は非常にハードなトレーニングを行っていると思いますが、世界の一流選
 手と互角以上に戦うには、更なるトレーニングが必要です。バドミントンの世界で一
 流選手になるためにはトップアスリートとしても一流の体力を有する必要があります。

ブラジルと東京オリンピックに出場し輝ける可能性がある桃田選手には、今後も是非頑張
って日本のバドミントン界を牽引して欲しいと思います。そのためには、今回の敗戦で発
見した課題を克服して欲しいと考えブログで述べさせていただきました。
読者の皆様の競技力向上のヒントになれば幸いです。

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  1. 2013/09/16(月) 14:51:23|
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Author:飯野佳孝
●主な著書&DVD制作
バドミントン教本「基本編」
バドミントン教本「応用編」
バドミントン教本「Q&A」
DVD見てうまくなるバドミントン教本
目でみるバドミントンの技術とトレーニング
「ナイスショット勇羽」原作者 他
●NHKスポーツ教室 企画・解説・指導
2001年・'02年・'03年・'05年
・'06年・'07年・'09年・'10年
●コーチングセミナー専任講師
●全日本ジュニア研修合宿指導委員長
1992年~2007年
●選手としての主な成績
デンマークオープンダブルス優勝 1979年
全英選手権ダブルス3位 1979年
カナダオープンダブルス優勝 1977年
 ペアは全て土田証雄氏

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